2次試験の最新傾向と対策
第2次試験は、第1次試験合格者及びスポーツ推薦者のみを対象として実施されます。第2次試験からは福岡県柳川市にあるボートレーサー養成所で実施され、2泊3日の合宿形式で行われます。第2次試験で行われる内容は毎期ランダム制で異なりますが、以下の試験内容・能力が求められます。
1.適性試験 | 2.体力試験 |
---|---|
操作適性 | 全身持久力 |
反応力 | 筋持久力 |
注意力 | 筋力 |
調整力 | 瞬発力 |
スポーツビジョン | 敏捷性 |
心理判断 ほか | 柔軟性 |
とは言うものの、「実際にどんな種目や項目があるの?」「過去にどんな種目が行われたの?」
と疑問になるかと思いますので、第135期試験までの直近で行われた過去の種目などを中心に解説していきます!
この情報を知っているか知らないかだけでもかなりの差があるでしょう。
1.適性試験
2次試験の適性試験は、主に以下の項目があります。
- 操縦試験
- 全身反応力
- 教練
- 処置判断
- 手腕作業
- 運動調整力
- 速度見越し
- 横動体視力(DVA)
- 縦動体視力(KVA)
- 目と手の協応動作(周辺視野)
- 深視力
- 瞬間視
- 色覚
- 静止視力
- 心理判断
- 作文 など
適性試験は、直近の傾向だと2次試験2日目を中心に行われます。(心理判断・作文・瞬間視は1日目が多い傾向)
適性試験では専門の機械などを用いて試験が行われますので、事前に最寄りのスポーツ科学に特化した施設や総合体育館などに問い合わせておくといいかと思います。
また、「眼」を使ったトレーニングはボートレーサーを目指す上でとても重要となってくるので、日常からスポーツビジョントレーニングなどをする習慣をつけておくことをオススメします。
操縦試験
操縦試験とは実際にボート(ペアボートという2人乗り用のボート)に乗艇して行われます。2次試験未経験者のほとんどの方が初めて行う試験ですので、事前に試験官からの説明をよく聞いておくことが大切です。初めて2次試験を受験する方は不安になるかと思いますが、他の方も同じ条件なので大丈夫でしょう。
全身反応力
全身反応力の試験内容は、眼で見た情報を判断して全身動作に移すまでの反応の速さを測定する試験です。専用の測定器の丸いライトが赤く光ったら、マット上を両足でジャンプします。ライトが光ってから両足がマットから離れる時間が記録となります。
処置判断
処置判断の試験内容は、継続的な変化に対応する「注意力」の配分や持続性が求められる試験です。専用の測定器具を使用し、様々な方向を向いた矢印が書いてある円盤の上に、左右に2本の針があります。その2つの針を両手でハンドルを操作して、2つの針が共に円盤の上に書かれてある矢印が指す方向の後ろ側を通るように操作します。
針が円盤の外側の赤い部分に触れたり、矢印の上を通ると「ブーブー」と音が鳴ります。
処置判断では、試験中にミスすることもありますが、その後いかに焦らず冷静になって対応できるかも重要になってきます。
手腕作業
手腕作業の試験内容は、手先の器用さ、手腕の器用さ作業の正確とスピードを求められる試験です。この能力はボートレーサーになってから整備のときに活かされます。
「ペグ」と呼ばれる小さな丸棒を「穴から抜き取って、引っくり返して、異なる穴に移して入れる」という作業を繰り返します。
この試験では「ペグ」を落とさないようにすることや、焦りから手を滑らせたり、穴にしっかり入っていなかったりするので注意が必要です。
運動調整力
運動調整力の試験内容は、ハンドル操作によって目標物を見定めて、目標位置に調整できる能力が求められる試験です。専用の機器を使用し、ハンドルの中心に立ち、ハンドルを右手に持ち、左手は腰を掴み、カーナビのような画面を見ます。画面には平行に動く四角い目標点が上下に2点あり、上の点は自動的にランダムに動きます。
それを下の点を自分でハンドルで操作して、上下の2点の距離が短い時間が長かった方がいいでしょう。
速度見越し
速度見越しの試験内容は、一定の速度で動く物体の速度を正確に追えるかを問われる試験です。「眼」を正確に使う能力が必要になります。専用の機器を使用し、一定の距離に置かれた機器のボードに光っている玉が直線上に右から左に流れ、それが途中から黒い板で見えなくなり、指定された箇所に光の玉がきたと思ったら、ボタンを押して、実際の指定された位置とボタンを押した位置の差が試験の記録となります。顔を動かすのではなく、「眼」で物体を捉えることが大切です。
横動体視力(DVA)
横動体視力(DVA)の試験内容は、左右方向に素早く動いている目標物を眼だけで捉える能力(動体視力)を求められる試験です。ボートレースではスタートタイミングや空中線、ターンマークの位置を確認したり、ボートの速度感を把握するために重要な能力です。
専用の機器を使用し、スクリーン上に左から右にランドルト環(視力検査に使う「C」マーク)が流れてくるので、そのランドルト環の切れている方向を答えるというものになります。このランドルト環の速度は徐々に遅くなっていくので、切れている方向が分かったら手元のボタンを押してから、答えることになります。
縦動体視力(KVA)
縦動体視力(KVA)の試験内容は、縦方向に奥から手前に動いている目標物を眼で捉える能力(動体視力)が求められる試験です。前述した横動体視力と同様に、スタートタイミングや空中線、ターンマークの位置を確認したり、ボートの速度感を把握するために重要な能力です。
専用の機器を使用し、この機器から自動音声ガイダンスから流れるルールを聞いて、その通りに行います。最初に静止視力を測定し、その後縦動体視力を測定し、動体視力の数値が出されます。
目と手の協応動作
目と手の協応動作の試験内容は、周辺視野と視点移動の速さの能力が求められる試験です。ボートレーサーはスポーツビジョンの能力が重要な競技なので、この試験はその能力が明確に現れる試験です。
専用の機器を使用し、ボードにランダムにボタンが30回光るので、そのボタンを押せた回数が記録となります。
深視力
深視力の試験内容は、眼で遠近感をつかめる能力が求められる試験です。大型トラック・バスの免許の試験などと同じ試験方法で行われます。
専用の機器を使用し、器具の中に3本の黒い棒があって、真ん中の棒が手前と後ろに一定速度で前後します。両側の2本の棒は固定されています。この動いている真ん中の棒と両側の2本の棒が一直線上に揃ったときにボタンを押して、その誤差が記録となります。器具の中の見え方を図で表すと「| | |」のようなイメージです。
瞬間視
瞬間視の試験内容は、瞬間的に映し出される数字などを眼で捉える能力が求められる試験です。全10問出題され、画面の前に数字が瞬間的に映し出されます。初めは3桁の数字から始まり、最後は6桁程度まで数が増えます。正しい情報を瞬時に判断する能力はボートレーサーに必須の能力になるので重要な試験になります。
教練
教練の試験内容は、主に6パターンの動作を試験官の号令に従って行われる試験です。6つのパターン内容は、「気をつけ」「右へならえ」「右(左)向け右(左)」「回れ右」「前へ進め」「全体止まれ」の動作になります。
教練の試験前にはやり方を教えられ、一緒に試験を行う受験生(4〜5人)と事前に練習をすることができます。
操縦試験
操縦の試験内容は、ペアボートと言われる二人乗り用の大きいボートで行われる試験になります。前に受験生が乗り、後ろに現役のプロレーサーが乗り、ボートの操縦を行います。
操縦試験前日に説明が行われるので、その説明をよく聞くことが大切です。
試験方法として、離岸は後ろのプロボートレーサーが行い、1マークまでプロボートレーサーが操縦します。その後、肩を「ポンポン」と2回叩かれてから受験生が操縦します。操縦するコースはS字に3つのブイがあるコースで、3つ目のブイを曲がってから、また肩を「ポンポン」と叩かれるので、その後はプロボートレーサーが操縦します。
ステッピング
ステッピングの試験内容は、専用の機器を使用して、試験官からのスタート合図があったら、素早く足踏みを行います。足踏みの回数が測定されます。
瞬発力、筋持久力などの総合的な運動能力が問われる試験になります。
心理判断(IQ・労研・心理的競技能力)
心理判断の試験内容は、IQ・労研・心理的競技能力の3分野で知能や性格などがボートレーサーに適正か見られる試験になります。
IQ試験では、10種類程度の問題をそれぞれ決められた時間内に何問解けるかが問われます。
労研試験では、8種類程度の作業をそれぞれ数分試験します。それぞれの作業を決められた時間にどれだけ行えるかが問われます。
心理的競技能力では、スポーツ選手用の心理テストを行います。50個程度の質問にすべて回答する試験になります。
それぞれの試験の時間など試験官の指示に従って行われます。
作文
作文試験の内容は、与えられたテーマに沿って制限時間内に作文を書いていきます。
作文と合わせて自分の長所や短所など試験官からの指定の指示が出されますので、テーマに沿って書いていきましょう。
2.体力試験
2次試験の体力試験では主に以下の項目があります。
- 50m走
- 持久走(800m、1500m)
- 20mシャトルラン
- 長座体前屈
- 開脚体前屈
- 上体起こし
- 腕立て伏せ
- 反復横跳び
- 立ち幅跳び
- 関節柔軟(7種類)
- スラックライン など
2次試験の体力試験では全身の運動能力が求められます。毎期出題される項目は異なってきますが、筋力、筋持久力、瞬発力、敏捷性、柔軟性など求められる運動能力に変わりはないでしょう。
50m走
50m走の試験内容は、学校等で行われるスポーツテストと同様に行われます。水面横のコンクリート上で4人1組で実施され、一人一人タイムが測定されます。4人の順位などは関係ありません。スタート方法は「クラウチングスタート」と「スタンディングスタート」があり、指定されたスタート方式で行います。
持久走(800m走、1500m走)
持久走の試験内容は、競争水面の周りのコンクリート上を1周(800mの場合は半周)走り、そのタイムが記録となります。ボートレーサー養成所は海沿いに面している為、強風が多いです。
大人数で一斉にスタートするため、スタートラインでとても混雑します。コース取りが重要となってきますので先導する試験官の真後ろをピタッとマークしてなるべくいい位置取りをすることをオススメします。
コンクリート上で行われるため、膝にかなり負担が大きくなりますので、練習からコンクリート上で測定をしておきましょう。
20mシャトルラン
20mシャトルランの試験内容は、学校等で行われるスポーツテストと同様に実施されます。25人1組程度で実施され音が鳴り止む前に到達できなかったところまでが記録となります。持久力に加え、切り返し時にかかる下半身への負荷が重要になります。
長座体前屈
長座体前屈の試験内容は、学校等で行われるスポーツテストと同様の試験となります。壁に背中がついた状態で手を伸ばしたところがスタートポジションとなり、そこから前屈できた距離が記録となります。ハムストリングスをはじめ、骨盤の前傾の柔軟性が重要となります。
開脚体前屈
開脚体前屈の試験内容は、学校等で行われるスポーツテストと同様の試験となります。床に90°(期によっては100°以上)のカラーテープが貼ってあるので、それに合わせて両足を開脚します。壁に背中を付けた状態で手を伸ばしたところがスタートポジションとなり、そこから前屈できた距離が記録となります。長座体前屈と同じくハムストリングスや骨盤の前傾させることが重要となります。
上体起こし
上体起こしの試験内容は、学校等で行われるスポーツテストと同様の試験ですが、測定方法に違いがあります。一般のスポーツテストはペアの人に回数を数えてもらうのに対して、ボートレーサー試験では、カウントする器具を足に巻いて、その器具に胸の前でクロスした腕に当てることによってカウントされます。
通常は、マット上に体育座りをして、足をペアの受験生に固定してもらい、測定器を足に巻き手を胸の前でクロスさせて、30秒間で測定されます。
(期によっては45度程度の傾斜がついた腹筋台で同様に行われます)
足に巻く器具の高さは「22mm」なので、練習からしっかり上体を起こす練習をしておきましょう。
腕立て伏せ
腕立て伏せの試験内容は、60秒間で何回腕立て伏せができるかというシンプルな試験になります。(期によっては、腕立て伏せの状態から左右に移動する試験などもあります)
手の位置は肩幅程度に設定し、腕をしっかり曲げることがルールです。上体のみ動かしている人はルール違反となる場合もあります。
反復横跳び
反復横跳びの試験内容は、学校等で行われるスポーツテストと同様の試験ですが、測定方法に違いがあります。一般のスポーツテストはペアの人に回数を数えてもらうのに対して、ボートレーサー試験では、カウントする器具が床に設置されており、それを踏んだ数が記録となります。
1メートル間隔で3本の線が引いてあり、その3本の線を素早くまたぐ瞬発力や敏捷性が重要となります。
関節柔軟
関節柔軟の試験内容は、以下の7つの動作が行われます。
- 頭の上で両手の手の甲を合わせて、手腕を目一杯伸ばす試験
- 背中の後ろで両手の拳を合わせる試験(片方は上から、もう片方は下から)。左右両方行われる。
- 座った状態で、両足の裏を付けて、手を前に伸ばして体を倒す試験
- 四つん這いになって右手と右足を前後に地面と水平に伸ばして、右肘と右膝を付けることを繰り返す試験。左右両方行われる。
- うつ伏せの状態から片方のふくらはぎの部分をヘソの下あたりに持っていき、膝の角度が90度になるように調整し、体を前に倒す試験
- 起立した状態で、手を前に伸ばし、しゃがみ込む試験
- 仰向けの状態で、膝、足首をまっすぐに伸ばす試験
これら7つの試験を行い、試験官が目視して採点されます。(期によってはすべて実施されない項目もありますが、すべて抑えておくことをオススメします)全身の柔軟性と体幹を意識したトレーニングが必要です。
スラックライン
スラックラインの試験内容は、二点間に張り渡した専用のライン上を落ちることなく渡り切れるかという試験になります。分かりやすくいうと、綱渡りを低く短くしたものになります。
靴を脱ぎ靴下で行われ、3回落ちると失格となりそこで試験終了となります。最後まで到達することは難しいですが、できるだけ1回も落ちずにリズムよくスムーズに行うことが重要です。
体全身のボディバランス(体幹)が求められ、事前に練習しておくことが必要です。
3次試験の最新傾向と対策
3次試験は2次試験の合格者のみ実施され、ボートレーサー試験の最終試験となります。2次試験の合否結果が4日目の朝に伝えられ、不合格者は解散、合格者はそのままボートレーサー養成所に残って3次試験に臨みます。
3次試験を受験する人は約100名程度に絞られ、その中から50名程度が最終合格者となります。(2人に1人が合格する確率)
3次試験は人物試験(面接試験)がメインで行われ、その他身体検査が行われます。身体検査ではボートレーサーに適しているかの最終チェックになります。
面接試験
面接試験の試験内容は、ボートレーサーとして必要な人物像や性格、将来性、可能性などを面接形式で見られる試験になります。例年だと受験生1人に対して面接官複数名(2〜4人)での個人面接になります。
期によっては、面接回数が2回以上行われたり、人数や回数が異なる場合もありますので、指示に従い臨機応変に対応することも重要です。
質問内容は毎期異なりますが、「志望動機」「自己PR」「試験について」「対策方法について」「経歴について」「スポーツ歴について」などの質問が多い傾向にあります。
面接時に大切なことは、ハキハキとした受け答えをし、態度、言葉遣い、礼儀、礼節などを重んじることです。日本一厳しいと言われているボートレーサー養成所に求められる人物像を意識しましょう。
身体検査
身体検査の項目は、身長、体重、視力、血圧、血液検査、胸部レントゲン、直腸検査、睾丸検査、聴力検査、視野の広さ、色覚、書字などがあります。これらの検査に不安がある方は事前に、一度病院で検査されることをオススメします。
身体検査は福岡県久留米市の「聖マリア病院」に移動して行われます。
以上がボートレーサー試験の2次・3次試験で行われる試験になります。また、最近の2次試験では1日目から3日目まで毎日体重測定が実施されているので、きちんと体重管理をしておく必要があります。
上記の項目以外にも出題されている試験などもありますので、少しでもボートレーサー試験の不安がある方はグランプリが丁寧に対応いたしますので、お気軽にご相談ください。